[横歴通信11月]例会開催


11月例会が開催されました

11月例会 11月8日(日) 横浜開港記念会館 講堂
朝晩かなり冷え込むようになり、全国各地からは紅葉の便りが届きすっかり秋めいてきました。
しかしコロナ禍は収束の気配を見せず、このまま年の瀬を迎えることになりそうです。当例会は今月もコロナ禍対策をしっかりまもりながらの開催の運びとなりました。いまは会員各自、個々のコンディションと相談しながら参加をいただいています。多くのみなさんが安心して来講いただける日が来ることを願っています。
今月の参加者は会員83名に、新入会員1名、ゲスト2名を加えた86名でした。
11月22日(日)は秋の歴史散歩が開催されます。ご都合がよければご参加ください。(下記詳細)

開催にあたり

木村髙久会長
本日も多数のご参加ありがとうございます。このところ再びコロナ陽性患者が増加傾向にあるとのことで心配しています。みなさんも十分ご注意をしていただきたいと思います。
さてコロナによって世の中は停滞気味ですが、歴史の話題に目を向けると、新たな歴史の解明が進んでいるようです。6月に飛鳥寺西方遺跡で、日本書紀に記されている中大兄皇子と中臣鎌足が出会った「槻(つき)の木の広場」があったとされる場所で、施されていた石敷きの欠落部分に「槻の木」のあったと見解が出されました。このようにいま歴史の証明にエビデンス、裏付けといった科学的な根拠が示されるようになっています。ますます楽しみです。本日も新しい会員さんをお迎えすることになりました。ご一緒に楽しくやっていきましょう。

◆新入会員のご紹介
藤井靖之(やすゆき)さん
子供のころから歴史が大好きで、特に戦国時代と幕末~明治にかけての歴史に興味をお持ちだそうです。


◎11月例会発表のポイント
長谷川憲司さん 演題「近代日本が生んだ世界的細菌学者 野口英世の実像」
貧しく恵まれない環境からも医者をめざす。問題を起こしたり失敗したりしながらも必死に努力を積み重ね、その都度誰かに助けられる。頂点には立てないが立派に道を切り開く。その才能・努力を評価する人は多い。しかしもう一歩届かないという苦しさ、むなしさを感じる人生だ。生涯論文数204報、年平均7.3報という驚異的な活動には頭が下がるがその学術的成果は3報でしかないという結果に、細菌学者として生きていく者の宿命を教えられる。免疫を持っているはずの黄熱病で亡くなった英世。結果発見には至らず「(なぜ罹ったのか)私にはわからない」との言葉を残したという。病理の研究の難しさや評価は一般の者にはわからない。同じ道に生きる演者だからこそ英世の偉さや思いが伝えられる話だった。

斎木敏夫さん  演題「宇佐神宮と八幡神」
宇佐や国東はいまの北部九州では地勢的に取り残された地域である。しかしそこには宇佐神宮をはじめ多くの寺院や石仏群が点在する。斎木さんは同地に古代の政治文化が栄えたことの謎を解き明かしてくれた。それは数多ある八幡宮の大本が宇佐であることは秦氏という外来部族の存在があったからだった。京都にメジャーな石清水八幡という社があっても、宇佐にこそ秦が“やはた”になり、幾重につながる幡を立て大和朝廷の軍事最前線となった八幡神がルーツにあったのだ。豊前の豊(とよ)が卑弥呼からのつながりで文化圏を形成したのではないかといったことなど、邪馬台国宇佐説を唱える人達がいることにも腑が落ちる話である。いつもながら当地の寺社・仏像の詳細な解説は現地のガイドにも勝る講義だった。

高尾 隆さん  演題「間宮林蔵は善人か悪人か―歴史は後世に脚色される-」
日本人は日本を愛してくれる外人を持ち上げる。ところが時としてそうした偏重が間違いの元となる。間宮林蔵は家庭を持つことなく江戸深川で亡くなった。しかし内妻と呼べる最後を見届けてくれた女性もいた。そのままであれば偉大な探検家で、後世日本の国防や内政に寄与した人との評価が今日あるはずだ。ところが林蔵のたった一つの行為が幕府の天文学者と日本のために尽くした学者シーボルトを不幸に貶めた。その結果を150年もたった昭和の学者がこの話を二人の学者の悲劇として著した。しかし悲劇の原因となる点の審議はなく、一方的な被害者擁護論である。結果、この発言力の強い学者が著した林蔵の悪評は今日の定説となってしまった。歴史を語る際は個人的な思いや信条を持って表現してはいけないという教訓である。

11月22日秋の歴史散歩を開催いたします

『江戸文化の光と影-裏浅草を歩く-』

江戸の浅草裏、小塚原から日本堤・吉原-待乳山昇天神社をめぐる「江戸の光と影‐裏浅草をめぐる」歴史散歩を11月22日(日)に実施する予定です。コロナ禍による集団行動が慎まれる事情もあり、参加者を6~7名程のグループ分けでグループ1つに専属ガイドをつけるソーシャルディスタンスを考慮した形式で計画をしています。なお今後の社会情勢により変更する場合もありますのでご了承ください。
令和2年11月22日(日)
集合場所 JR常磐線・南千住改札口前 午前11時

(他の交通機関からの場合)*メトロ日比谷線南千住 北口、つくばエクスプレス南千住
参加費 1000円(ガイドブック、お茶付き)*事前申し込み不要 自由参加
*コースの案内を記載したチラシ
*鷲神社酉の市は二の酉11/14と三の酉11/26になります。当日は参拝の予定です。
☞裏浅草散歩チラシ

鷲神社 酉の市

待乳山昇天

12月例会は会報81号と2021横歴卓上カレンダーの配布があります。

12月例会 12月1日(火)午後1時開始
〈発表者〉
◆小林 道子さん 演題・・・『 金印発見―志賀島の甚兵衛は何処へ消えたのか 』
◆中村 康男さん 演題・・・『 明治新政府、勢力闘争と近代化の歩み 』
~旧土佐藩士大目付下村銈太郎盛俊の役職から読み解く~
◆長尾 正和さん 演題・・・『 元禄期の大大名 良将、善将、悪将、愚将
-「土芥冦讎記」- 』

*講演内容は「横歴 例会のご案内」をご覧ください
*発表者のご紹介は11月20日頃にホームページに掲載いたします。

◆今後の例会予定

*開催場所はすべて横浜開港記念会館講堂
令和3年度総会&新春講演会 1月11日(月・祝日)
2月例会 2月2日(火)
3月例会 3月2日(火)
4月例会 4月4日(日)
5月例会 5月1日(土)