[横歴通信]12月例会開催

関内ホールで初めての例会開催

新しい校舎(?)を橋本理事がご案内

横歴の聖地、横浜開港記念会館が長期の改修工事に入るため、今月から例会場が変わりました。場所は関内・馬車道通りにある関内ホール(小ホール)です。音楽や演劇などが開催される市民ホールとして知られ、演じる側、鑑賞する側双方に素晴らしい設備の会場です。
現在会場はコロナ禍対応のため座席は50%の132席使用で行われています。
当会にはちょっと贅沢な会場ですが、コロナが終息するまでは主会場として利用する方針です。今後は2月~5月まで月例会場として予定されています。
来場者数85名(会員78名、ゲスト7名)

新入会員

佐々木眞佐子さん(東京都)
「関心を持っているテーマは江戸の幕政改革です。好きな人物は八代将軍徳川吉宗。
歴史についてはまだ、始めたばかりの一年生なので、たくさん学んで、研究発表ができるまでになれたらいいなと思っております。」

開催にあたり

木村髙久会長
ようやくコロナ禍の拡大が収まったかと思っていると、オミクロン株とやらの新しいウィルスが発生したとのことでまだまだ心配が続いています。その中でも当会にとって明るい話題は「はま寄席」が無事開催できたことです。大勢の会員並びに一般の方々にご参加いただきありがとうございました。例会開催の苦労が続いた一年も今日で終わりとなりますが、来年は当会創立40周年の年になります。皆さんと一緒に盛り上げていきたいと思います。

関内ホール発表第1号高田さん


12月例会発表のポイント
パーツ不足のジグソーパズルを埋める日本史の謎に迫る三題

高田 茂さん  演題 『七支刀と四世紀の倭国』
緻密な組み立てで古代史の問題点を一刀両断

七支刀と聞いてすぐにわかる人は古代史にかなり精通している。またその絵を見れば誰しもどこかで見たことがあるような(気がする)形状をしている。奈良の石上神宮に伝えられる鉄剣でかなりの重量があるとのこと。明らかに儀式的用途(道教の儀器)の物であることが判る。問題はこの刀剣に刻まれた現存最古の文字である。表裏わずかな文字数ながら裏面に百済王世子から倭王のために造ったと記されてある。その文意は百済王世子奇が倭の国王へ、王として自らを戒め律するという老子の教えである道教思想を伝えたかったのではないかと推察されている。
高田さんはこの刀剣が贈呈された4世紀は歴史書がなく、倭国の王と贈与者である百済世子(太子)とでは対等な関係でないという点において、時の倭国が女王ではなかったのかと言及している。さらに文献資料の希薄な時代を鑑み、いち早い我国の古墳の調査が行われることを望んでいる。これは後述する木村髙久氏の発表とも一致することであるが、古代史ファンならずとも同感する話である。いずれにせよ当時の百済と倭国が親密な関係であったことは明白であり、後の「白村江の戦い」に中大兄皇子が百済救援の出征の断を下す話とつながる。
[特報]令和4年1月8日の新春特別講演は『白村江の戦いから羅唐戦争へ』講師/植田喜兵成智(きへいなりちか)氏 ご参加をお待ちしています。

真野信治さん 演題 『鎌倉殿のおじいさん 源為義の虚像と実像』
家譜の専門家が解く系図に秘められた武家の面子

真野さんは当会理事の他、日本家系図学会監事を務めている。本人も認めるように歴史上に残る家系図には多くの虚偽創作があるとのことで、家系図を読み解くにはかなりの歴史的知識とそれに基づく客観的な推理力が必要である。本演題は武家の元祖源氏の由来となる頼朝の祖父の話である。
この祖父為義の出自がはっきりしない。結構いい加減な人物?となると東国で名を馳せ、武家の礎を築いた源義家から義朝―頼朝に到る源氏の系譜が乱れることになる。はたまた為義が問題の人物となるとその兄弟の足利の祖・義国の出自さえも冴えないものになるのである。
そうした伏線がありつつもしっかりと家系図に収まっている理由が『尊卑分脈』の編者、洞院公定(とういんきんさだ)がその作為に関わったからだという話である。これを確固たるお墨付きした人物が武家の王として、朝廷を抑え徳川と並ぶ15代の足利幕府を盤石な地位に引き上げた足利義満であったとする論理は歴史ミステリー番組のような面白さである。

発表者 木村髙久さん 演題 『邪馬台国畿内説は正しいか?』
日本史永遠?の謎を明瞭快活に解き明かす

演者の横歴会長木村さんの発表は当会の明文が通史の研究であるように、時代を問わず時節の話題の事柄を取り上げたり、隠れた偉人の生涯を拾い上げたりなど多岐にわたっている。今回は日本史最大の謎といっても過言でない『邪馬台国』は何処なのかに挑まれた。
同氏が言うように考古学では近年畿内説が定番のようになっているが、いまだ決定的な根拠となる物は何も出てきていないのである。
木村さんの結論は『九州説』である。その論理は畿内説では無理である根拠を細かく納得のゆく論法で提示した。『魏志倭人伝』にある邪馬台国への行程を表す文言に「山海に浜(そ)いて居(す)み、草木は茂盛して、行くに前の人を見ず。」とある。以前当会で同テーマの発表があったが、その時も瀬戸内海を通り畿内へ至る行程は生半可なものでないことを指摘した方がいた。地図を広げ、計算機片手に割り出した距離が正しいからという畿内説には、この頃の時代を推理した旅の苦行などが計算に入ってない様な気がする。
まとめは九州のどこであるかの指摘までは至っていない。至らないからこそ信ぴょう性の高い発表ではなかったのではないだろうか?当会の発表は60分。簡潔にまとめ聞き手に満足を与えてくれる発表だった。
(壺主 広目屋隆助)
*発表者のレジュメは研究発表をご覧ください。

令和4年定期総会・新春講演会のご案内

1月8日(土) 場所:技能文化会館・多目的ホール 中区住吉町2-4-7 TEL.
045-664-9400
JR関内駅南口より徒歩5分・地下鉄伊勢崎長者町駅2番出口より徒歩3分
■第1部 令和4年度 定期総会
午後1時10分~2時10分

〈主な議題〉⑴会長総括及び展望
⑵令和3年度活動報告
⑶令和3年度会計報告
⑷令和4年度活動計画
⑸令和4年度予算案
⑹40周年記念行事
⑺役員異動
⑻その他

新春講演会 古代の朝鮮半島と日本・中国の三国関係をひも解く
古代史ファン必聴!!

創立40周年記念イベント第一弾 新春特別講演
■第2部新春講演会 午後2時30分~4時00分

古代の朝鮮半島と日本・中国の三国関係をひも解く『白村江の戦いから羅唐戦争へ』
講演参加費 1000円
講師 学習院大学東洋文化研究所 植田喜兵成智(きへいなりちか)先生

当日皆さんの疑問・質問にお答えいただきます。乞うご期待!!
*総会のみ参加でお帰りになる方は参加費の徴収はいたしません。
[講師紹介]
・2009年3月 早稲田大学第一文学東洋史学専修卒業
・2011年3月 早稲田大学東洋史学コース修士課程修了
・2015年9月~2017年3月 韓国ソウル大学留学
・2017年3月 早稲田大学東洋史学コース博士後期課程単位取得退学
*現在、学習院大学東洋文化研究所助教、博士(文学)。
●主な業績
・『新羅・唐関係と百済・高句麗遺民』(山川出版社2022年1月)
・「黒歯常之・俊親子の業績とその墓誌の制作背景」(『古代文化』70-4,2019年3月)
・「在唐百済遺民の存在様態」(『朝鮮学報』2015年7月)
・「羅唐戦争終結記事に見る新羅の対唐認識」(『史滴』2014年12月)

今後の予定

2月例会 2月6日(日)関内小ホール
3月例会 3月7日(月)関内小ホール
4月例会 4月10日(日)関内小ホール
春の歴史散歩 日時場所未定
5月例会 5月8日(日)関内小ホール
40周年記念歴史ツアー「“ゆくさ・おじゃったもんせ.よかとこ かごんまへ!!” 5月25日(水)~27日(金)