[横歴通信9月]9月例会開催

9月の例会日 残暑の中 涼風が通りぬける馬車道
9月10日 当会40周年記念式典・祝賀会が開催されました(既報)。盛況の内に終了した1週間後の17日は9月の最初の3連休初日。夏疲れもあると思われ参加者はやや低調でした。参加者数64名(会員59名・新会員1名・ゲスト4名)
いよいよ40周年記念のハイライト40周年記念大会「歴史講演と伝統芸能の集い」が1カ月後に迫っています。すでに来場者は定員に達し満員のお客様の中で開催の予定です。
参加予定の皆様は当日をどうぞ楽しみに!

新入会員

伊藤育子さん(東京都町田市)

 

開催にあたり

横浜歴史研究会会長 木村髙久さん
最初に先日の40周年式典・祝賀会を皆様のご協力により盛大でかつ和やかに執り行うことができましたこと心より御礼申しあげます。あの日は仲秋の名月でしたが、夜になって見あげると夜空にまさしく輝いていました。次にご案内申し上げていますように10月16日日曜日は当会の40周年記念大会を実施いたします。5年に1度、会員と一般のお客様が一堂に会する当会最大のイベントですのでぜひとも成功させたいと念じる次第です。
ところで99年前の9月1日、関東大震災が発生しました。死者・行方不明者約10万人、家屋損壊38万戸という大規模災害でした。我々はこうしたことから逃れることはできません。しかし地震を防ぐことはできませんが、被害を少なくすることは可能です。防災グッズを用意しておくこと、ハザードマップを見て避難や危険な箇所を把握しておくことなどが我々にできることです。忘れた頃にやってくるというこの災害に備えをしていただきたいというのが私からのお願いです。

9月例会発表のポイント
演題 『古代東海道甲斐路について 河口湖畔の「鯉の水遺跡」を中心に』竹内秀一さん
前回神奈川の古代直線官道について、実際の画像を示して講義いただいたのだが、まったく知識のない者にとってかなり驚きの内容であった。文明が進んだ現代からみると、古代の官道とは言っても、けもの道程度の想像しかつかないのは私だけではないだろう。それは古代律令国家が威信を示す象徴的な施政として大規模な道を開いていたとは歴史を甘く見てはいけないという教訓であろう。この古代道路の研究は戦後しばらくたってからとのことである。竹内氏は日頃グーグルマップの航空写真を鳥の眼で眺めながら、「ここはもしや古代の官道ではないか?」と思いめぐらすのが楽しみの一つと言う。できればこの大規模官道の敷設がどうしてなくなったのかなど次回お話しいただければありがたい。
昨年武田収功さんの『水銀の道』という発表があったが、当会の例会でレアではあるが歴史の変遷に重要なパーツとして学ぶことができるのは嬉しいかぎりである。

演題 『サピエンスは「噂話」で進化した』宮下 元さん
宮下さんは“自分の話を聞いて欲しい”という方の話に耳を傾ける“傾聴ボランティア”という活動を地元でされている。地味ではあるが悩める方に接し、心を和らげてあげるという奇特な活動である。だからというわけではないだろうが、当会ではコトバに関する研究発表をされてきた。言葉の大切さや力がわかるからであろう。
今回は人間だけがどうして言葉を持ち今に至るのかという話。なぜ人類=ホモ・サピエンスは類人猿から新人類(サピエンス)に進化することができたのか?それは直立二足歩行をすることにより頭蓋骨に変化をもたらし声道や咽頭といった新たな構造が母音をつくる条件を生み出したから他の動物とは異なったとされる。そして『知恵のビッグバン』と呼ばれる過去や未来・遠方、明日(未来)を認知するという計画能力を身につけ演題にもある「噂話をする」というコミュニケーション能力があるからだという。
人類の素晴らしい進化はまさにここにあるのだろう。しかしここまでの文明を築き上げたのに、噂話が争いの道具としてまかり通っているのには溜息しかでない悲しい。

演題 『街歩きで出会った古刹とつながる数奇な糸-濟松寺-』高尾 隆さん
江戸の街歩きが楽しいのは、その対象を現代でもリアルな状態で享受できることである。
その多くは現存する寺社にある。牛込濟松寺の祖心尼は戦国武将の娘に生まれ、歴史的転換期の荒波に翻弄されながらも自分の生き方を貫き、徳川初期の時代形成に大きな影響を与えた。この女性が紡ぐ糸と糸が織りなす人間関係は、人は誰しもさまざまな結びつきで生きていくものだと教えてくれる。
また春日局という偉大な女性の陰に隠れてしまいそうだが、その生涯を知ると人間的な魅力に感動を覚える。局をサポートするために大奥に入った時、祖心尼は大奥の女中達に禅の教えを説いた。ところが瞬く間に多くの女中たちを魅了し虜にしてしまう。当時の幕閣達は祖心尼の教えはキリシタン(邪教)ではないかと疑い詮議したそうである。しかし祖心尼は将軍家光が尊敬する沢庵和尚と同様に教えを乞うほどの教義を身につけたという。おそらくその教えとは宗教という枠ぐみで語るものではなかったのだろう。(発表者談)
*発表者の詳細は「研究発表」をご覧ください。

10月例会のご案内

10月6日(水)午後0時50分~4時40分  会場/関内ホール(小ホール)
 開場  12時15分~      開会  13時
◆発表者
『絵図・浮世絵に見る横浜開港』 森 彩子さん
『「おくのほそ道」を歩く』  長田 格さん
『幕末維新期、時代を動かした人材~山内容堂にみる~』 中村 康男さん

詳細は例会案内をご覧ください。


「歴史講演と伝統芸能の集い」
日時  10月16日(日曜日)
開場12時 開会12時45分 開演13時
会場  テアトル・フォンテ (相鉄線いずみ中央駅隣接)
【歴史講演】
◆ 講師  小和田 哲男先生
『いま、徳川家康の生き方から何を学ぶか』
【伝統芸能】
◆ 講談  宝井 琴鶴
◆ 落語  浮世亭寿八 参遊亭遊若  鹿鳴家河童

おかげさまで全席受付完了しました!
おかげさまをもちましてテアトルフォンテの予約は満席となり、受付は終了いたしました。
*なおチケットまたはご予約のチケット番号をお持ちでない方は当日ご入場頂けません。

会場はコロナ対応!

●マスク着用、手指の消毒をお願いします。
●発熱や風邪の症状等、体調が悪い場合はご入場をお控えください。
●ロビーや客席でのお食事はご遠慮ください。
●公演時の歓声や大声の掛け声はご遠慮ください。