[横歴通信3月]3月例会開催


3月6日(月)は平日開催となりましたが、陽気も良くコロナ禍でなかなかお顔を見ることのなかった会員さんも参加されるようになりいよいよ春本番、例年より早めの桜だよりと共にこころも浮き立つ季節がやってきました。散歩、旅行とイベントが待ち構える下半期、会の活動も本格的になってきました。参加者数79名(会員77名、新入会員1名、ゲスト1名)

新入会員

高津正治(たかつしょうじ)さん
団塊世代です。リタイアした後、なにかをしなければという思いから昔から好きだった歴史を学びなおそうと思い伺いました。よろしくお願いいたします。

 

 

 

会長挨拶

寒さも和らぎ、コロナもようやく収束に向かっているようで胸をなでおろしているところです。会場でのマスク着用についてですが、今月まではとりあえずお願いいたします。3年前ダイヤモンドプリンセス号から端を発した我国のコロナ禍が始まりましたが、物好きな私は大黒ふ頭まで見に行きました。テレビカメラがたくさん並ぶ中、救急車が列をなしていたことを覚えています。以来、例会はもとより歴史散歩やバスツアーが中止になりましたが、今年は4月23日に歴史散歩、5月15・16日のバスツアーが計画されています。まだ参加経験のない新しい会員さんもいらっしゃると思います。ぜひともご参加くださるようお願いいたします。


3月例会発表
◆コロナ禍の収束と共に、会員の皆様の例会参加が増えてきました。当面の間、例会は関内ホールでの開催で実施していく考えです。今月半ばにはマスク着用についての国の指針が出されると思いますが、当会場内においては自主的着用でお願いいたします。同様に研究発表における演者への質問は、今月から時間が許す限り実施していきたいとおもいます。

司会 上野事務局長・副会長
今月の発表は、会員の専門性や個性が大いに発揮された中身の濃い講話になりました。横歴会員の研究の質の高さを実感させられるものでした。

 

 

青柳敏行 氏 演題『契り』
演者が冒頭に断わられたように、演歌にあるような艶っぽい約束事の話ではない。ご自身が体験された海外の仕事において生じた異国人との契約概念の相違が研究の元になっている。視覚的イメージで言えば、外国人の契約書は膨大で分厚く、対して日本人同士の契約書は薄っぺらい。長年その違いはどこから生まれるのかを疑問に思い、後年大学の講座で宗教論などを学び行き着いたところが「日本の契約概念は、祖先から子孫につながる縦の伝統による自然(神)と人間が一体化した共同体に存続している幽契(ゆうけい)と言霊(ことだま)信仰である」とのことだ。
実に面白い研究発表である。難しいグローバルな契約論ではなく、日本人、日本を考える上で大変貴重な話である。一時日本は欧米に比べ弁護士が圧倒的に足りないという時代があった。しかし近頃その仕事があまりなくて、あぶれている弁護士もいると聞く。日本の契約は明らかに違う。幽契…「俺の眼を見ろ!なんにも言うな」、言霊…「なんとかなるさ」は我々には日常的であるが、外国人には驚きの概念に違いない。
青柳氏の話は大変ユニークである。今後もこのような視点で歴史を掘り下げていただければ幸いだ。

高橋 正一 氏 演題「京都市~横浜市金沢区を往来していた兼好法師」
日本古典文学に名高い随筆「徒然草」の作者、吉田兼好は我がご当地鎌倉金沢にも庵を持ち暮らしたことで知られる。当時の金沢の暮らしぶりや鎌倉と都との関係が著されており、同地を知る上で大変興味深い。演者高橋氏は京都にも別宅を持ち、随時往来し当会はじめ京都での歴史研究者と交流を図られている。研究発表においてもそのネットワークをいかんなく発揮され、毎回その内容的な奥深さには感服する。
発表は兼好の出自の程と鎌倉幕府や朝廷とのつながりを検証された。聴けば人間関係や系譜が複雑であったものを後年室町中後期に朝廷幕府の間に暗躍した吉田兼倶(吉田神道創始者)が兼好を著名な血筋として我田に取り込み捏造した可能性が高いとのことである。(小川剛生説)
兼好は金沢貞顕とつながり、和歌を通じた朝廷での活動をリークするスパイを務めてかもしれないとの話は、我々が知る無常観の隠遁生活とは真逆の生きざまに感心してしまう。そういえば金や地位がなければあのような暮らしや面白い話は書けないと思う。引き続き高橋氏の歴史の掘り起こしに期待したい。
■高橋正一さんの新書発刊のご案内
『プチ移住 月2万円で手に入る! in京都』
テイスティ高橋 著
みらいパブリッシング
価格 1650円(税込)
四六判 192ページ ソフトカバー
憧れの地でデュアルライフ。実に新しい “京都” との接し方!
*詳しくはHP「横歴 書籍のご案内」を

 

 

槙 良生 氏 演題『王将・坂田三吉と将棋の世界』
天才棋士藤井聡太さんの快進撃が連日のようにニュースに取り上げられ、将棋はいまや国民的関心事となっている。この競技をわかるものと知らぬものとでは、ことの大きさや受け止め方が異なるのだろうが、いわゆる知的ゲームである。演者の話にもあったように、膨大な対局をデータとして取り込んだコンピュータの将棋能力の方が人間を上回るのかもしれないが、棋盤に向かい合い相手の読みと戦う、互いの息遣いやしぐさも勝負の綾となる人間臭いところが機械では生まれてこない醍醐味なのだろう。
歌や映画で名前だけは知っているつもりの坂田三吉だが、どうやら藤井さんのような無敵の棋士ではなかったようだ。そこにはエンターテイメントに富んだ人間模様が存在した。また将棋ファンの興味をあおる上方対東京という舞台設定もあった。
江戸幕府も公認した競技はいくつものドラマを生み、歴史を繋いできた。81マスの中で20の駒を操る世界は合戦にも似た魅力があるのだ。
槙氏は優しい語りで坂田三吉が登場した時代をひも解いてくれた。いつもながらの入念な下調べと話の組み立て・話術は見事である。渋みと甘露が合わさった旨い茶をいただいたような気分だ。
*各氏講話のレジュメはHP巻頭MENU→研究発表をご覧ください。

4月例会のご案内

4月8日(土)午後1時00分~4時50分  会場/関内ホール(小ホール)
 開場  12時15分~      開会  13時
◆発表者
『飛鳥の風土がもたらしたもの―飛鳥の呪術と幻覚性植物-』武田収功さん
『植物学・公衆衛生学の先駆者「北里柴三郎」の信念』  長谷川憲司さん
『私が歩いた五街道(日光・奥州街道編)』
佐藤猛夫さん

*詳細は「横歴例会のご案内 4月例会」をご覧ください。

春のイベント開催予定

春の歴史散歩 4月23日(日)
「称名寺・金沢文庫から旧伊藤博文別邸・金沢東照宮跡地まで」
参加費 1000円 ※65歳以上の方は入場団体割引を利用しますので証明できるものをご持参ください。
〈予定コース〉金沢文庫駅(集合)10:00-県立金沢文庫-称名寺-薬王寺-金沢八幡神社-龍華寺-旧伊藤博文金沢別邸-明治憲法草創の碑-瀬戸神社-金沢東照宮跡-金沢八景駅(解散)
*金沢文庫では文庫学芸員による「称名寺・金沢文庫の由来・特色と特別展の見どころ」の解説を受講します。
特別展「金沢文庫の肖像」鑑賞

詳細ご案内は4月8日(土)4月例会でご案内します。
散歩監修 竹内章二副会長

研修旅行 バスツアーのご案内 参加者募集中
「新緑の甲州路に武田三代ゆかりの地を訪ねる」
5月15日(月)~16日(火)募集人員45名
旅程 〈15日〉横浜駅-釈迦堂遺跡博物館-信玄館(昼食)・恵林寺-武田神社・信玄ミュージアム-信玄堤-上諏訪温泉(泊)〈16日〉諏訪大社・下社秋宮-高島城跡-諏訪大社・上社本宮-昼食-大善寺-景徳院-横浜駅
〈お願い〉参加の不可に関わらず配布済の回答ハガキを必ず投函願います。その際会員名の明記をお忘れにならないようお願いいたします。
*お申込みをされた方の旅行代金の支払いは所定の払い込み用紙でお支払いいただくか、4月例会日の受付でもお受けします。
申込締め切り 3月末日
旅行委員 佐藤猛夫 武中正文

「歴研よこはま84号」原稿募集中

2023年度5月末発刊「歴研よこはま84号」(6月例会時配付)
新会員の皆様の初投稿 お待ちしています
40周年の節目を過ぎ、横歴会報「歴研よこはま」は次回84号になります。会員の皆さんの作品を当会所属の証として残してみませんか?
【投稿規定】
自由なテーマでの一般原稿を募集しています。
◆内容 歴史論文・エッセイ・俳句・短歌・詩など
◆字数 *論文・エッセイは会報4頁以内(字数は7200字以内、題名、氏名、写真、表、地図、文章間の空欄など含む)
*俳句5句以内、短歌7首以内、詩30行以内。
◆締切日 令和5年3月末
◆配付日 平成5年6月例会時配付