[横歴通信6月]例会開催


6月3日の例会は74名の参加がありました。(会員67名・新入会員1名・ゲスト6名)
台風接近で暴風雨が吹き荒れた前日に続いて午前中まで大雨でしたが、午後の開始前には明るく日が射してきました。懇親会も盛況でした。皆さん、大いに飲み、大いに食して元気に帰路につかれました。ご参加いただきありがとうございました。

新入会員

鈴木 興三(すずき こうぞう)さん

会員の長田さんとは囲碁仲間です。囲碁の後、この会の事を聞いてそれは行かなければと来た次第です。発表するような力はないのですが皆さんの発表を聞かせて頂くのを楽しみに来たいと思います。
 

 

渡邊慶子(わたなべけいこ)さん

奈良の葛城出身です。詳しい事は分からないのですが、皆さんと一緒にしっかり勉強したいのでよろしくお願いします。

 

 


上野事務局長より
今日はお二人の方が入会されました。最近は毎月のように入会される方がいて嬉しい事です。本日入会された渡辺さんと同じく、渡辺という苗字の方が他に3人いて、横歴では4人になりました。会員数全体から見ると高い割合でしょう。下の名前で呼んでみたらいかがでしょうか。本日は熊本会長が所用で遅れますので会長挨拶は木村名誉会長にお願いいたします。

会長挨拶

木村名誉会長
午後の天気も心配でしたが大勢来て下さって有難く思います。本日は3点の事をお話ししたいと思います。
1点目は会報誌『歴研よこはま84号』が発刊されて本日皆さんにお渡し出来ました。ご帰宅後ゆっくりご覧ください。新しい発見や喜びや楽しいことがあると思います。多くの方に投稿いただき、写真や俳画など皆さんの力によってできました。編集担当者の皆さんもありがとうございました。85号の原稿募集をしています。締め切りは9月末になります。85号の特集テーマは「横浜の偉人」です。詳細は84号最終ページをご覧ください。奮ってご応募願います。
2点目はコロナの為数年にわたって中断されていた旅行が先月行われました。皆さん和気あいあいと見学や食事の際に打ち解けられていました。、見学地では学ぶことがあり、帰りはクイズ大会やビンゴで楽しい旅行になりました。旅行幹事の他にも多くの方に手伝いや解説をして頂き、皆さんの力で素晴らしい旅行になりました。今回参加できなかった方も次回は是非ご参加ください。
3点目は関東大震災が今年で100年目にあたります。5月には関東地方で割合大きな地震が複数回ありました。関東地方は地震の巣と言われています。3つのプレート(太平洋プレート・フィリピン海プレート・北米プレート)が重なり合っていて、これらのプレートがずれると地震となります。首都圏直下型地震についてはマグネチュード7クラスの地震が今後30年以内に70パーセントの確率でおきる可能性があると言われています。地震を止めることはできませんが被害をゼロや最小限に抑えるように個人や家庭で自助努力、対策に取り組んで頂きたいと思います。今日は発表を大いに楽しんでください。

6月例会発表のポイント
長田格氏 演題「南朝石刻 中国南京市とその周辺のみに残る南朝時代の石造』
壇上のスクリーンに映し出されたのは、ほぼ実物大と言われる生き物の石造。
理系出身の氏は南京市に住み、この姿を見て、また街の雰囲気に感化されて、歴史に興味を持つようになられた。中国の在住期間、多くの陵墓の石造を見てまわられたそうだ。像は接いだ後がなく石灰岩を一石調製したものだが、この大きさの石灰岩を切り出して運び彫刻するにはかなりの労力と時間がかかったであろう。陵墓の石造は数多くあるそうだが、これくらい巨大な像は南京市中心部と鎮江市のみに残っているそうだ。石像は皇帝陵なら麒麟と天禄、皇族陵なら辟邪と決まっている、いずれも架空の生き物だ。
南朝時代の各皇帝の推移と共に陵墓の石像の特色をスクリーンに写真を映して解説された。
中国では政権交代時に禅譲という手段をとる。禅譲という体裁をとりながらの殺戮である。
そういった歴史など我関せずと青空の下、ただ、たたずんでいる巨大な像。まるで時間が止まったかのようである。これを悠久の美というのであろうか。
長田氏はこれら多くの石像や南京市を映した『南京と歴史』『南京と日本』を出版している。2023年カラー版も出された。
長尾正和氏 演題「大航海時代と信長・秀吉・家康」
今回の長尾氏の発表は世界からの日本へのかかわり方と三大英傑の外交についてである。日本の戦国時代と大航海時代はほぼ重なっている。信長・秀吉・家康の外交・考え方を関係する主要な人物を挙げながら軍事について解説した。大戦には外国が絡んでいる。日本は小さな島国であるが西欧諸国から鉄砲などの売込みや布教などの対象として狙われていて、アジアでの重要な拠点となる可能性を秘めていたのである。その中心的存在だったイエズス会の宣教師は信長と深くかかわり、その影響は他の武将たちにも及び九州・近畿、さらに東に伸ばそうとしていた。信長の征明(みん)構想はポルトガルへの対抗心から来たものか、それを成し遂げぬまま秀吉の時代へと移り、朝鮮出兵へと至る。秀吉の思想はフロイスの『日本史』に書かれている。秀吉の自国の軍事力への自信が伺われる。
これまでの研究者たちは宣教師たちの書簡を重要視していなかったが、彼ら側からの視点から見たことも視野に入れる必要がある。戦国時代より勝ち上がってきた三人は英雄であり、対外政策はそれぞれが西欧の文明・文化をうまく使い、国の繁栄へと導いた。
信長・秀吉のやり方を間近で見て、失敗やダメな点を学び、正していった家康が戦いの世を終わらせたのである。
宮下元氏 演題「正倉院のなぜ?…聖武遺愛品は150点のみ」
毎年正倉院展が楽しみで通われているという宮下氏が疑問に思ったことが今回の研究発表に至った。「正倉院には国宝がない」。国宝指定は正倉院の建物のみで中の宝物は天皇家(皇室)の持ち物なので指定から外されている。現在の宮内庁管理になるまでは、中の宝物は盗難など記録に残らない外部持ち出しもかなりあったようだ。いつの世も宝物は盗賊に狙われるものである。156センチと巨大な輸入の香木・蘭奢待(らんじゃたい)は現在でも良いにおいがするらしい。しかし時の権力者たちによって38ヵ所も切り取り跡がある。同様に輸入の薬も貴重品、今でも薬効があるらしい。130年間で10回ほどの棚卸があり、また個数の変動も大きく、明治時代には記録にない出庫・流出が横行していたとは嘆かわしい。藤原仲麻呂のサインや天皇御璽の偽物などが権力掌握に使われている浅ましさ。完全管理は難しいが、これら一つ一つが歴史の証明となる。今後新しく発見される書物や遺物と照らし合わせるとさらに新事実が見つかるかもしれない。吉野ケ里遺跡で王墓かと思える発掘が新たに見つかっている。宮下氏のようなこうした楽しみの中から不思議に思うことがきっかけで調べ始める、歴史研究とはそういったものであろう。

*各氏講話のレジュメはHP巻頭MENU→研究発表をご覧ください。

7月例会のご案内

7月5日(水)午後1時00分~4時50分  会場/関内ホール(小ホール)
 開場  12時15分~      開会  13時
◆発表者
春口健二さん 演題「千葉常胤の活躍と九州千葉一族の動向」
真野信治さん
演題「清和源氏を陽成源氏と呼んではいけない~ある不正事件から見える衝撃的な事実~」
竹内章二さん 演題「ラムセス2世 ~古代エジプト 神になったファラオ~」

*詳細は「横歴例会のご案内 7月例会」をご覧下さい。

「歴研よこはま85号」原稿募集中

新会員の皆様の初投稿 お待ちしています
横歴会報「歴研よこはま」は次回85号になります。研究発表はちょっとと二の足を踏んでいる貴方。まずは軽い気持ちで投稿してみませんか。会員の皆さんの作品をお待ちしております。
【投稿規定】85号は特集テーマ「横浜の偉人」と自由なテーマでの一般原稿となります。奮ってご応募下さい。
◆内容 歴史論文・エッセイ・俳句・短歌・詩・その他
◆字数 *論文・エッセイは会報4頁以内(字数は7200字以内、題名、氏名、写真、表、地図、文章間の空欄など含む)
*俳句5句以内、短歌7首以内、詩30行以内。
◆締切日 令和5年9月末日
詳細は84号最終ページをご覧下さい。