[横歴通信7月]例会開催


今月の例会は30度越えの真夏日で平日開催にも関わらず、82名の参加がありました。(会員76名・新入会1名・ゲスト5名)暑い中ご来場頂き、ありがとうございました。懇親会にも34名の参加があり、大変盛り上がりました。熱中症には十分ご注意いただき水分補給をお忘れなく!

新入会員

藤原 俊司(フジワラ シュンジ)さん
退職を機に、高校の日本史の教科書を読み始め、日本の歴史に興味を持ち始めました。今は戦国時代まできました。よろしくお願いいたします。

訃報

永井幸雄氏
6月5日にご逝去されました。(享年76歳)6月3日の例会にもご参加されてて、突然の事でした。ボランティアで舞台運営の音響や照明を担当されていて、当会のイベント(40周年記念講演・伝統芸能・はま寄席)でも何回もお手伝い頂きました。心よりご冥福をお祈りいたします。

会長挨拶

熊本会長
毎年行っているバスツアーがコロナで3年間行えず、今年は参加者が非常に少なかったので、今後の参考にするためアンケートを配布しました。皆さんの忌憚ないご意見を伺いたく、ご提出をお願いいたします。先日佐賀県の吉野ケ里遺跡で見つかった石棺ですが、九州小倉の城野遺跡の石棺と共通している部分があります。石棺の幅が40センチ、赤色顔料や線刻です。城野遺跡からは子供の歯や頭蓋骨の一部が見つかっており、吉野ケ里の石棺も子供のものではないかと思われます。卑弥呼の墓も畿内説、九州説ともめないで、期待はおおいに、夢を持っていたいと思います。コロナもまだ心配ですので手洗い、うがいを心がけましょう。

:都合により発表の順番が入れ替わりました。
7月例会発表のポイント
真野信治氏 演題「清和源氏を陽成源氏と呼んではいけない!」
今回の発表は「清和源氏・陽成源氏論争」についてである。星野恒氏が発表した論考の根拠となる『源頼信告文案』についての信ぴょう性を検証し、さらに『将門記』や他の一次資料の中の位階などから源経基が陽成天皇の二世孫王(元平親王の子)となり得ない、『西宮記』から清和天皇の場合は例外的にこの位階もあり得るという事を史料で解説。また、詐称事件や『尊卑分脈』から見た生年などを踏まえて元平親王と経基の親子関係は成立しないと導いた。家系図学会の理事でもある真野氏は『尊卑分脈』を駆使して多様な史料から通説や新説にメスを入れていく。発表は専門的な部分もあるが、氏は多くの歴史講座を受け持っているので非常に聞き取りやすく興味深かった。真野氏の歴史講座の予定は下記の通りです。
8月30日  かながわ県民センター 健生カルチャースクールで歴史講座
9月14日  青葉区公会堂 青葉郷土史会で特別講座
10月14日  ぱれっと旭 社会福祉法人悠遊会での歴史講座
他ケアプラザ等での定期歴史講座を開催しています。詳細は真野氏にお尋ねください。
今回はレジメの公開はご本人の意向で行いません。詳細は『歴研よこはま』78号の「やってしまった元平親王」をご参照ください。
竹内章二氏 演題 「ラムセス2世∼古代エジプト神になったファラオ~」
今回の発表は6年ぶりとなる。前回までの古代奈良(鑑真・聖武天皇・藤原氏)についての発表とはがらりと変わり、多くの世界遺産を巡ってきた氏の体験からの発表である。現代日本から3300年前、1万キロ離れているエジプト、現存する遺跡の半分以上に、ファラオであるラムセス 2 世の名前が刻まれているという。巨大神殿などの遺跡や遺物の写真や図版をスクリーンに映し出して解説頂いた。世界各国が協力して、ダム建設に伴い水没することになるアブ・シンベル神殿遺跡の移築・保存に力を合わせて動いた話は心に響く。アブ・シンベル大神殿には、ラムセス 2 世が正式な手続きを経て即位した上下エジプトの王であることを示すものとして、上エジプトの象徴であるロータスの花と、下エジプトの象徴であるパピルスを結んでいるレリーフ、下エジプトの象徴である赤冠の上に、上エジプトの象徴である白冠を載せた二重冠を冠っており、上下エジプトの王であることを明示している。神の子として、王は常に民の安寧と国の繁栄を祈願し、自身の王位の正統性を強調している。ヒッタイトとの「カデシュの戦い」では世界最初の平和条約が結ばれた。現在エジプトでは、①地下資源。天然資源の輸出、②スエズ運河通行料に次いで、第3 の外貨獲得の財源となっているのが③観光産業だという。ラムセス 2 世は古代エジプトで傑出したファラオであったのみならず、古今東西でも有能かつ偉大な為政者の 1 人であったと評価された。
春口健二氏 演題 「千葉常胤の活躍と九州千葉一族の動向」
前回の三浦一族に続いて今回は桓武平氏の血を引く下総の豪族、千葉一族の発表である。
頼朝や家康など有名な武家とは違い、主流でない武士集団であるが三浦一族とともに千葉一族は鎌倉幕府創建に大きく貢献した。三浦一族と千葉一族の共通点は海人民族としての特性を持ち、その住む土地は200万年前後に海底から隆起した我が国最古の国土で海底の豊富な栄養分があり肥えている。自然の怖さを知っている、私利私欲のない協調性、助け合いの精神という共通点を上げて海の男の純粋さを強く訴えた。千葉氏は前九年の役や頼朝挙兵では早くから参戦し、源氏に従ってきたが所領の開拓は苦労の連続であった。下総の国司である平常重が千葉介を称し、千葉氏の中興の祖とされるその子常胤が二代目千葉介となる。常胤は息子たちとともに源平合戦や奥州合戦に参加し、その功績によって、北は東北から南は九州まで、全国に所領を獲得したが佐竹氏との相馬御厨を巡る争いなど納得できない苦労もあった。千葉六党と呼ばれる常胤の6人の息子たちは、所領を分割して引き継ぎ、それぞれが本拠とした所領の地名を名乗った。
ご家族にもお手伝い頂き、詳細な資料を準備してさらに書き加えるという、準備に相当な時間をかけたことが伺われる。千葉や大椎(おおし)などの地名のいわれも疑問に思えばすぐに役所に確認の電話を入れる。九州にも出かけて現地調査をする。まさに春口氏は行動の人である。

9月例会のご案内

9月3日(日)午後1時00分~4時50分  会場/関内ホール(小ホール)
 開場  12時15分~      開会  13時
◆発表者
大岩 泰さん 演題「我が国の医療史」
下垣有加さん 演題「八難六奇の三浦義村」
高尾 隆さん 演題「医は仁術か 医者のホスピタリティとは?」

*8月の定例会はありません。お間違えの無いようご注意ください。
*詳細は「横歴例会のご案内 9月例会」をご覧下さい。

「歴研よこはま85号」原稿募集中

特集テーマは「横浜の偉人」です。皆さんの作品をお待ちしております。詳細は84号最終ページをご覧下さい。

*会員の皆様に10月21日(土)に開催予定の第2回「横歴はま寄席」のチラシを配布いたしました。
ご家族・ご友人の方々にもお声掛けよろしくお願い申し上げます。詳細は改めて掲載いたします。